樹液を求めて対峙するオオスズメバチの女王たち

もっともっとスズメバチを知る

『彼を知り己を知れば百戦危うからず』

スズメバチの場合は彼女ですね。

怖い。危険な殺人バチ。
そのようなイメージしかないスズメバチ。
実はスズメバチのことを知れば知るほど、不用意な刺傷事故を防ぐことが可能になっていきます。
そして、知れば知るほどスズメバチの魅力に気づかされます。
近年、その魅力にやられたスズメバチファンが増え続けています。

スズメバチの毒針

毒張りというものは、産卵管が変形したものです。つまり、毒針を持っているのはメスだけなのです。 オスバチは敵を刺すことができません。 


じゃあ、メスの割合はどれくらいかと言うと・・・女王バチはもちろん、働きバチもすべてメスです。

オスバチというのは、無精卵から生まれる「働かないバチ」です。秋に新女王と交尾するためだけに生まれる個体です。
オスバチの方が触角が長いという特徴がありますが、飛んでいる個体を見分けるのは困難です。
飛び回っているスズメバチはすべてメスだと思って、刺激しないようにしましょう。

スズメバチの毒

ハチのもつ毒には様々な種類の毒が含まれていて、毒のカクテルなんて呼ばれています。

スズメバチの持つ毒には、ヒスタミン、セロトニン、カテコラミン、アセチルコリン、ポリアミン、ホーネットキトン、マストパラン、マンダラトキシン、ホセホリパーゼA2,ヒアルウロニダーゼ、プロテアーゼなどが含まれています。

スズメバチの毒針

スズメバチの寄生虫・天敵

スズメバチネジレバネ

スズメバチに寄生する虫。幼虫の体内に住み着き、成虫になったハチの腹部で栄養をとります。寄生された働きバチは正常な働きができなくなり、越冬して、翌年まで活動することがあります。

ハチクマ

タカの仲間の猛禽類。巣を襲って巣盤を奪い自分の雛たちの餌にします。硬い羽毛がハチの毒針から体を守っています。さらに、ハチの攻撃性を薄れさせるフェロモンを出します。

クマ

クマにとってもスズメバチの巣はたんぱく質をたっぷり含んだ、魅力的な食べ物です。

オニヤンマ

スズメバチの硬い体も強靭な顎で噛み砕いてしまいます。

アリ

アリもスズメバチにとっては天敵です。営巣初期段階では、なすすべもなく蹂躙されてしまいます。

オオスズメバチ

他の種のスズメバチにとって、オオスズメバチは天敵です。
集団で襲撃されたら敵いません。

人間

スズメバチにとっての一番の天敵はやはり我々人間です。

樹液を吸うオオスズメバチの女王


スズメバチが巣を作る主な場所

軒下

目立つので、直ぐ気づくと思います。

木の枝・生垣の中

枝の剪定作業の時は注意してください。

屋根裏・床下・壁の中

スズメバチが出入りしていたら、巣があると思ってください。キイロスズメバチやモンスズメバチの可能性が高い。

土の中・木の根本

オオスズメバチが出入りしていたら、巣がある可能性が高いです。刺激しないようにしましょう。

車庫の二階に作られたコガタスズメバチの巣

スズメバチの食事

成虫

成虫は主に樹液などの液体を餌にしています。
そして、巣の中では幼虫の口からでる液体を摂取しています。

幼虫

幼虫は働きバチが狩ってきた昆虫などの肉団子を食べます。
その代わりに働きバチに、口から液体を出してお返しします。栄養交換と言われている行動です。

樹液を吸うオオスズメバチの姉妹

分泌液をスポーツドリンクに応用

スズメバチが一日に100kmも飛べる理由はアミノ酸

株式会社 明治のVAAMという飲み物や顆粒の食品をご存知でしょうか?
これらは、スズメバチから学んだ独特なバランスを組み合わせたアミノ酸のスポーツドリンクや食品です。

スズメバチの成虫は一日に100kmも飛行することが可能です。日本でいうと東京から名古屋くらいの距離です。その恐るべきスタミナの秘密は幼虫たちの分泌液です。

スズメバチの成虫は巣の外で昆虫を捕まえます。その昆虫は巣にいる幼虫たちの餌になります。スズメバチの成虫は捕まえた昆虫を巣に持って帰り、幼虫たちに食べさせます。その代わりに、幼虫たちは栄養のある分泌液を出します。

その分泌液を研究した結果、独特なバランスで組み合わされた17種類のアミノ酸が含まれていることがわかりました。
その17種類のアミノ酸を科学的に再現した食品がVAAMです。

スズメバチの農業益虫としての一面

スズメバチは農作物にとっての害虫を食べてくれる益虫としての一面もあります。
食べるのは巣にいる幼虫たちです。
働きバチ達が餌になる昆虫を肉団子に加工して巣へ運びます。
強力な大あごで不要な部分を切断し、器用に丸めて巣へと持って飛び立ちます。見事なものです。

スズメバチのアップ

過剰な駆除により増殖するスズメバチ

矛盾しているようなことを言っていると思うかもしれません。
スズメバチの世界にもバランスがあり、ある一種を駆除すると、他の種が増えるということがあります。近年のキイロスズメバチの増殖は、そのバランスが崩れたことによって起きているのではと考えられています。

樹液を舐めるオオスズメバチの女王

スズメバチからニオイによって自身を防衛する

秋の山登り、キノコ狩りのお供にスズメバチサラバをおすすめします。
殺虫剤ではなく、スズメバチにとって嫌なニオイで忌避させる画期的な商品です。
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