もっとスズメバチを知る
春(スズメバチの一生)
長く過酷な冬を何とか乗り越えたスズメバチの「新女王」は、春の暖かい日を選んで活動を開始します。
そして、営巣に適した場所を探しだし、そこに巣を作り始めます。
みなさん、家の軒下などで、フラスコを逆さまにしたようなハチの巣を見たことがあるでしょうか?
あれは、コガタスズメバチの巣のほんの初期の段階の巣です。
この時期の女王バチはたった一頭で、巣作り、産卵、狩り、育児と、なんでもこなすスーパーママさんです。
夏(スズメバチの一生)
ある程度働きバチが増えると、女王は産卵に専念することができます。
働きバチが分担して仕事をしますから、この時期に巣は大きく成長します。
キイロスズメバチやモンスズメバチなどの種類は、この時期にもっと大きな巣を作ることが可能な場所へ、引越しすることがあります。
8月の後半ぐらいに働きバチの数はピークに達します。
この時期からコロニー全体が緊張状態になり、スズメバチ達はとても攻撃的になっていきます。
夏から秋
(スズメバチの一生)
この時期はスズメバチたちにとって、とても重要な時期です。
巣の中には、たくさんの幼虫やさなぎたちがいて、その中には次の世代にバトンタッチするための新女王たちと、雄バチ達がいるからです。
この様にたくさんの幼虫やさなぎ達がいる巣は、他の生き物にとって貴重なタンパク源をたくさん貯蔵した、とても魅力的な獲物になります。
ですから、この時期のスズメバチたちは、巣を外敵から守るためとても攻撃的になっています。
オオスズメバチはこの時期にほかのスズメバチの巣を襲うことがあり、幼虫やさなぎたちを自分たちの巣に持ち去ってしまいます。
秋から冬へ
(スズメバチの一生)
10月から11月ごろ、スズメバチの新女王たちと雄バチたちがパートナーを求め、巣から旅立ちます。
交尾を終えた新女王バチは、約半年近くにもおよぶ越冬のため、朽木の中など温度変化の少ない場所へ移動します。
こうして、巣立った新女王たちも、翌年あらたに自分のコロニーを築けるものは、1割未満です。
秋には今まで頑張ってきた女王バチは寿命で死にますが、コロニーは残った働きバチ達によってしばらく活動が続きます。
しかし、働きバチの寿命は1ヶ月程度なので、やがてコロニーは滅んでしまいます。